電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

安倍君に提案「クラス換え法案」どうよ?

さて、昨今再熱のいじめ問題を解く鍵もこの辺にある。
小中学校でのいじめ問題というのも「みんな」の空気の問題が大きく関わっている。
今やジャイアンのようなわかりやすい暴力的な「いじめっ子」など通俗的なマンガの中にしか存在しない。いじめる側といじめられる側の差は大してないのが実像だ。
むしろ、いじめる側といじめられる側はある意味では仲間なのだが、「場の空気」によって恒常的に「いじめられ役」にさせられている、という構造であろう。
だから、ハタ目には一見それがいじめとはわかりにくいし、仲間内ヒエラルキーがそんなクッキリ明確なわけではないから、「場の空気」次第ではいじめる側といじめられる側の反転だって容易に起きえる。
ゆえに、いじめる側もいつ自分がいじめられる側に転落するかが怖くて、仲間内でもいじめをやめたり、先生に言うことが言い出せず、いじめをやめることができない、などという証言が多々ある。
――と、いうような構造的状況に対し、安倍首相直属の教育審議会は「いじめた生徒は出席停止に」と提案したそうである。

政治ニュース - 11月25日(土)14時41分
いじめた生徒は出席停止に…教育再生会議が緊急提言へ
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061125it06.htm

阿呆か。
外部から厳罰を導入したって、せいぜいますます気まずくなるだけで、いじめを発生させる「人間関係の場の空気」を解決する方法になんかなりゃしねーっての。
いじめとはほとんど、そんな主体的な「悪の意志」によって行なわれるのではなく「場の空気」によって起きるのだから、事後的な厳罰では効果は乏しい。それよりいじめ発生の前提構造を「紛らわす」方が適切だろう。
極論すれば、例えば転校などで、そのような「場の空気」を生む固定化した人間関係を根本からリセットするのが一番だ。そこで次善の策として「校内転校」とまではいかぬが、固定化した人間関係のシャッフルとなるような「クラス換え」を(極端な場合、学期単位ぐらいで)ちょくちょく断行する、というやり方はどうか?
と、いうのは、単純物理的に「いじめ/いじめられ」グループが成立する前提を解体させれば、いじめ構造は成立しなくなる可能性は充分にあるからである。
無論、クラスが換わっても元のグループの力関係に縛られる場合、新たなクラスでもやはりいじめられる場合はあるかも知れない。だが逆に言えば、従来いじめていた側がいじめられる側に転じる可能性もあるわけで、そうなればみな人間関係の力関係は決して不変ではないと学習して、慎重にもなってくれないかなあ。
少なくとも、単純な厳罰導入なんぞより構造的に効果的だとは思うんだがねえ、どうっすか安倍さん?