電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

喪男、毒男をカモるスパムの欺瞞

あいも変わらず毎日、頭の悪い文面のスパム迷惑メールが届く。出会い系の類や、架空の女性からの間違いメールを装ったものも多いが、依然としてよくあるパターンなのが、金持ちセレブマダムとの逆援助交際紹介だの出張ホスト募集だのを謳った類のものだ。
そもそもまず、本当にこの世に、男を買う金持ちマダムだの逆援助交際だの出張ホストだのというものが存在するのか?
まあ、確かにそれはこの世のどこかには存在するのだろう。ただしそれは、たぶん俺なんぞにはまず一生涯縁もゆかりもなく想像もつかない場所にあるものであって、少なくとも、どこの誰ともつかぬ不特定多数の男にメールを送って募集するなどということは現実には絶対にアリエナイと断言できる。つまり見え透いた詐欺バレバレである。にも関わらず、そのような詐欺バレバレな内容のスパム迷惑メールが蔓延しているのは何故なのか?
昨今、ホストやら水商売やらを題材に取り扱った漫画やドラマがやたら増えている。前から思っていたのであるが、わたしはこの「ホスト・ブーム」に激しい違和感を禁じえない。
急いで付け加えておくが、わたしは現実の、ホストという職業で歴年の経験を積んでいるベテランの人間などを差別する気は一切ない。接客業の中の接客業である水商売のプロというのは、わたしなんぞには到底務まらない心底尊敬すべき人々だと思っている。
問題は、空疎で表層的なホストブームによって、水商売の業界外の一般人の間に「ホスト=女にチヤホヤされてお金が貰えるオイシイ商売」とでもいうようなムシの良い理解が蔓延していることである。さらには「男が女に媚びることを商売にすること」への恥の意識が喪失していることがあげられる。上記のようなスパムも、そういう空気の産物としか思えない。
……な〜んて書くと、この時代錯誤な硬派気取りマッチョ男め、と嫌な顔をするであろう。
だが、事実は逆なのだ、現実の水商売やホストの世界の方こそ、サービス業の世界にあって硬派な体育会系雰囲気の最後の拠り所なのである。そこに従事する者では、上下関係と礼儀作法が何より重視されるし、不断に自分の魅力を磨く「努力」を繰り返している。
わたしがムカついているのは、逆援助交際だの出張ホスト募集を謳ったスパムは、決まって、何の苦労も努力も必要無くそのままの自分が売り物になり、金と女が両方同時に手に入るかのような(←そんな一方的にオイシイ話があるわけねェだろ!!!!)気分を振りまいている点だ。
当たり前だが、何の努力もない男が転がってるだけで女が寄ってくる話は、ラブコメエロゲーの中だけにしかないのである。