電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2009-01-01から1年間の記事一覧

伝統なき愛国心/連続性なき伝統

先に「自分の生活を自分で作ることの継承」って書いたが、これは他人ごとじゃない。 今の日本の若い愛国者は、日本の伝統文化ってやつを、靖国神社遊就館のガラスケースにきれいに陳列されているようなものだと思ってるんじゃないかというフシがあるけれど、…

歴史のある白人/歴史のない有色人種という逆説

畏友ばくはつ五郎氏の勧めで映画『グラン・トリノ』を観る。が、まじめな感想文はすでに彼が書いている。 http://d.hatena.ne.jp/bakuhatugoro/20090502 なので、当方はしょーもない部分の話をする。 アメリカのヤンキー(←同語反復) まず、前半のアジア系…

多数派の中の少数派/少数派の中の多数派

以前「街宣右翼は愛国者のイメージ悪化を狙った反日勢力の自作自演」という俗説の深層について述べた。 http://d.hatena.ne.jp/gaikichi/20080605#p2 が、しばし前、デヴィ夫人が北朝鮮擁護っぽい発言をしたので右翼に押しかけられたとかいう事件(←どうでも…

雛見沢の「空気を読め」天皇制

わたしはルワンダや旧ユーゴのような「ふつうの人」による集団凶行の類がいっさい他国の話とは思えない。 いきなり奇をてらった例を持ち出すが、たとえば『ひぐらしのなく頃に』の話の舞台になる雛見沢という架空の村では、住民がグルになって村の存続を脅か…

属性による排除は(たぶん)解決にならない

前回わたしは、個別的な個人ではなく、顔のない属性としての「おばさん」――ここでの定義は、生産労働という自分の責任所属フィールドを持たず、ご町内とか親類内とか狭い世間の中での身内の噂ばかりに興じている人で、もっぱら専業主婦、という意味――を一方…

なぜオタクとおばさんは相性が悪いのか

しょうもない話であるが、前から不思議に思っていたことなのでこのさいに書くけれど、どうも世には、「『オタク』の天敵は『体育会系』(あるいは『ヤンキー不良』)である」という俗説があるらしい。 だが、なぜか世の非モテ論議では無視されているけれど「…

権威のあるものはなぜ権威があるのか?

『パンドラ SIDE-B Vol.2』で「東浩紀のゼロアカ道場」緊急寄稿というのを読んだら、若手批評家の育成を目指してたらしい東浩紀自身が若手から下克上されることに脅えているように感じた。で、幾人かの友人に「じゃあ、東先生は権威を演じてみせるしかないで…

生きてる人と死んだ本

文藝春秋社の『諸君!』が休刊だという。朝日新聞社の『論座』がなくなっても「まあしょうがないよね」としか思わなかったが、これはちょっとショックだ。 同じ保守系論壇誌でも新聞社である産経系列の『正論』は大真面目な政治的大局論ばかりなのに対し、文…

ガソリンの臭いがする仕事

そんなわけで、PHP文庫『ゼロ戦の秘密 驚異の性能から伝説の名勝負まで』(asin:4569671845)発売。 零戦の初登場から、真珠湾攻撃、ミッドウェイ海戦などを経て終戦までの活躍、零戦21型、32型、52型といった各モデルとライバル機の図解、開発秘話などを網…

消えた住宅街のノコギリ屋根工場

今から15年ほど前、つまり90年代の中ごろ、杉並区の桃井という西荻窪に近い場所で、マンションの清掃員をしていたことがある。 毎日、住民の出す大量のゴミを清掃車が回収したあとゴミ置き場を掃除したり、窓を拭いたり廊下を掃いたりしていたわけだが、夏場…

人(アメリカ)のふり見て我がふり直せ

既に指摘している人はいるとは思うが、オバマは白黒半々で先祖代々のアメリカ人でもない移民二代目である。そのためか、大統領当選&就任演説は、非常に慎重に、自分は特定の人種民族陣営の味方ではなくアメリカ全体を相手にしていると強調し、また一方で、…

先進国日本が失った一体感

ところでこの日、国立科学博物館では、たまたま「1970年大阪万博の軌跡」という催し物をやっていたので、友人の息子を一人旅させている間に見物した。 内容は、当時の企業ブース(三菱、松下電器、電電公社など)の展示物の一部やパビリオンの再現模型などで…

まったく自由だと人は成長しない、ような気がする

先ごろ、友人の長男(リアル中坊)が登校拒否になった。 友人は息子を放っとくとただの時間つぶしの現実逃避引きこもりになりそうだったので、口論の結果、息子のパソコンを取り上げて携帯電話を破壊したという。友人は子供から鬼畜呼ばわりされたと閉口して…

あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします。……なんか毎年これだけで済ませているが、それでも1月1日は更新するのは、年が明けてもしばらくブログが更新できない場合ずっと前年のエントリが残っているとマヌケだからです。 まあ、今年は積極的に活動したいです。