電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

凡才はミスをする、天才はミス「も」する

これまた仕事上の調べもの関連ながら、ドストエフスキー『罪と罰』のラスコーリニコフとポルフィーリィ判事の会話の部分を読み返す。 ラスコーリニコフの、マホメットやらナポレオンやら(1953年に初版刊行された手塚治虫の漫画版『罪と罰』では、ここにスタ…

反省せんとならんなあ

2、3ヶ月ほど前、旧友の一人と再会したら、彼はとあるかなり真面目な雑誌でインタビューの仕事をしてたが、毎回かなりインダビュー相手の過去の発言はきちんと調べていて、ネット上での印象批評の類まできちんと目を通していたので、感心したもんだった。 …

「情」の効用というか功罪

しかしだ、考えてみると、これは単に、本作品は単純な娯楽作品であるとか、劇中おげ丸というのが単純で情に篤いバカという設定になっている、という意味を超えて、案外、極限状況の人間心理としてこっちこそリアルなのかも知れない、とも思った。 いきなりえ…

寝取られた女のために戦う戦士

『忍法封印いま破る』では、自身の死期を悟った長安が、ひそかに三人の若い愛妾に子種を仕込んで、自分の意志を継ぎ将来の日本に革命を起こす「科学の子」を世に放たんとし、その子種を仕込まれた三人の娘を、長安が若い頃山の民サンカの女に産ませた野生児…

早すぎた近代人

山田風太郎『銀河忍法帖』とその続編『忍法封印いま破る』を読了。 江戸時代初期の鉱山技師大久保長安を、南蛮渡来のからくり仕掛け満載の城に住み、日本のみならず世界覇権まで視野に入れた先駆的近代人=マッドサインティストと解釈した奇想小説、と、かつ…

「国民よ、ジオンバーガーを食え!」

「機動戦士Zガンダム」が映画化だそうで、こじつけめくが、Zに出てくる、地球連邦政府の保守強硬派のティターンズって、今のアメリカの「ネオコン」みたいなもんかなあ、という気がする。結果的にはただの偶然だろうけど、富野由悠季の小説版Zガンダムじ…

ロニーは50年代からのタイムトラベラー

町山智浩氏が死去したレーガン大統領についていろいろ興味深いことを書いてる。 で、たぶんこのことも誰かが書いてるんじゃないかと思うが、私的覚え書きメモのようについでに記しておこう。 ヴェトナム戦争の傷を引きずった80年代初頭に登場したレーガン政…

暮れ行く夕陽の70年代の音

畏友ばくはつ五郎氏も書いてた通り、PANTAの再発売アルバム『走れ熱いなら』のライナーを書かせていただきました。 パンタといえば70年代を代表するミュージシャン、俺なんかが引き受けても良いの? という畏れ多い仕事でしたが、敢えて当時をリアルタイムに…

ヨクボーが人を大人にする

『攻殻機動隊SAC』のAI思考戦車タチコマは、自ら人間に近い存在になることを目指していたが、真剣に考えてみると、SFやファンタジーで、不死で身体的にも人間以上のロボットやら妖精やら魔族やらが人間に憧れる、というのは、トム・クルーズがサムライに憧れ…

肉体あっての精神だろう

今ガンダムの本の仕事をしている畏友中川氏と「ニュータイプ」についての話を少しした。 人類がより高次元の段階に進化、というテーマは、クラークの『幼年期の終わり』をはじめ古典SFにはよく出てくるし、ずばり『大気圏外進化論』なる本を書いたティモシー…

当事者意識のない真性二次コンおたく待望論

『創』7月号の岡田斗司夫×唐沢俊一連載対談第一回を読む。 なぜかいきなり浅羽通明氏の名前が出てくる、一生懸命背伸びしてスノッブを気取りたいタイプのおたくでも浅羽の本なんて今じゃもう読まない、という話か。 岡田&唐沢両人のご意見、一口におたくと…

質量保存の法則

今さら『鋼の錬金術師』を観る。で、今さら、なんかカッコいい決め台詞を覚えたので、今さら引用しておく。 「等価交換の原則」「何かを得るのには相当の代価が必要」 おお、なんと教育的な言葉だろう! まるで『千と千尋の神隠し』の隠されたテーマのひとつ…

馴れ合い便乗偽悪

先日の日記で、善意の差別家好青年(彼はその時ニコニコしながらチョンチョンと二度三度と連呼していた)について、そりゃただの偽悪でないかとの意見があったが、ふと思た。 戦後民主主義価値観を疑う頭のいっさい無い単純人権左翼には「無自覚な偽善」とい…

善意の差別家の横顔実例を初めて見ました

結局、人質自作自演説は決定的証拠も出ないまま(反証の決定的証拠も無いが)、次々起こる他の事件に紛れてウヤムヤになりつつある(「完オチ」報道ってどうなったの?)。保守側と言われる人間の中でハッキリ自作自演説を否定した小林よしのりの『新ゴーマ…

「笑い男」たちよ、もちっと「巨悪」に向かってくれよ

その昔、太宰治が『人間失格』に、日本中の捨てられる弁当箱にこびりついてる米粒を集めることができれば、貧しい飢えた人々を救えるのに、とか、バカみたいにナイーブ(愚直)なことを書いてた。わたしも中学生頃から、似たようなことばかり考えてる。 よく…

普遍的「正しさ」「善さ」「カッコよさ」への志向

業務上の必要から(←便利な言葉だ……いやマジだけどさ)「攻殻機動隊SAC」の最終回を、地上波放送の終了を待たずにレンタル屋で借りてきて観た(ちと調べ事があったのだ)。で、仕事と関係ない感想。いやぁタチコマの最期は実写「ジャイアントロボ」や「大鉄…

多忙ひと休み(また何度も書いたような話)

2週間ばかり仕事が激烈多忙だったが、やっと一時的に落ち着いた(?)