電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

現代の木村鷹太郎 爆誕!

余談その2。なんだか武藤議員への非難はSEALDsを「利己的」と批判した件に偏っているが、わたしは、それに同意するかは別として、件の発言は「一個人の感想」の範囲と思う。 それよりずっと問題だと思うのが、武藤議員が過去に「稲作は日本から朝鮮半島に伝…

三島由紀夫好きの腐女子っているんですかね?

以下は余談。しばし前に「日之丸街宣腐女子」って同人誌を出す人がいないかなあとバカなことを考えたが、もし武藤議員のゲイ疑惑が事実だった場合、今後は腐女子に大人気になったりするのだろうか? さて、世の腐女子の大多数は、あくまで第三者目線の観客と…

続・人間心理の逆説について

武藤貴也議員のホモ買春疑惑が発覚後、以下のような言説が散見された。 保守・右派がゲイというセクシャルマイノリティなのは矛盾ではないか 差別反対を唱えるリベラル派がゲイだから武藤議員を叩くのは矛盾ではないか いずれも随分と偏見的な見方だなあとい…

おまけ(最近の仕事)

8月8日に刊行されたダイアプレスの『日本洗脳計画 戦後70年開封GHQ』(isbn:4802300654)に寄稿。 占領軍VS戦後新興ヤクザVS三国人の抗争についてとか、占領下で自民党が共産党に対抗させるために構想した「反共抜刀隊」とか、児玉誉士夫が右翼やヤクザを動…

ネトウヨが耳をふさぎたいお言葉

「我国の新領土における土民、新附の民に対する統治官憲の態度は、はなはだしく侮べつ的圧迫的なるものあるやに思はれ、統治上の根本問題なりと思う」(1931年1月) 『昭和天皇語録』(講談社学術文庫)20p 「指導的地位はこちらから押し付けても出来るもの…

不都合な昭和天皇

少し古い話になるが、今年の春に別冊宝島で『実録 昭和天皇』(isbn:4800236878)という本の仕事に関わった。昭和天皇の生涯を取りあげた写真ムックで、当方が担当したのは、だいたい戦後の1960年代中から晩年までだ(昭和天皇が東大全共闘や三島由紀夫の割…

きみと世界の戦いでは世界に支援せよ

先週このような報道があった。 「中国が超大国になる」と考える人の割合、日本は主要国で最低 http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150702-00000003-wordleaf-nb この記事と同じ内容の詳細は『Newsweek』7月7日号に「アジアのお騒がせ大国が世界で求心力…

あたなたちの中で罪のない者のみが石を投げよ

またも何を今さらな話だが、元・酒鬼薔薇聖斗こと少年Aの手記をめぐる論議について。 http://www.france10.tv/social/5184/ 神戸少年連続児童殺傷事件の加害元少年の手記を受け止められない現代日本社会の闇 わたしは『絶歌』なる件の手記は読んでないし興味…

「昔は良かった」はどこまで遡れるか

現代のウヨ「日本は戦前の精神に回帰せよ」 戦前の右翼「日本は明治維新の精神に回帰せよ」 明治時代の右翼「日本は維新以前の武士道に回帰せよ」 江戸時代の国学者「日本は古事記・万葉の精神に回帰せよ」 奈良時代の日本の支配層「今の日本は未熟だ。唐の…

オタとウヨの相性について再論

これも少々今さらな話だが、少し前にウンザリした議論。 http://togetter.com/li/836856 さやわか × 野間易通 × 東浩紀「オタク批判はヘイトなのか──艦これ、サブカル、カウンター」まとめ まず、ここで野間易通は「オタクとキモオタは違う」と述べており、…

無用の用

例によって出遅れた話だが、文部科学省が進めてる「人文社会科学系は廃止」の話について。 わたしは無学歴底辺の見本みたいな人間なので、大学のガクモンについて云々するなどまるで蝿が獅子の群れの運営に意見するようなお門違いも甚だしいものだが、「文系…

「津山三十人殺しは明治憲法のせい」ですか?

以前も述べたが、わたしは1990年代当時から改憲の必要を意識していたけれど、現在の自民党の改憲案に対しては「9条に侵略に対する自衛権を加える以外に余計なことをするな!」と言いたい。 どうも自民党は憲法が国民の道徳を矯正する装置と本気で思い込んで…

オタクにとっては史実の悲劇性さえ同人誌のネタ

上記の3年前の記事で書いてたような「男の子の好きな趣味と少女キャラの融合」といえば「艦これ」なのだが、この作品が「正義で強くてカッコいい大日本帝国バンザイ!!」という心情の育成に一役買ってるかというと、少し疑問を感じてきた。 どうも艦これのシ…

うれしくない予言的中

3年前にこういう文章を書いて「ヒロインはネトウヨ少女」という作品の登場を予言してたら、ご存じの通り、なんか青林堂から『日之丸街宣女子』ってのが出てる。 http://www.garo.co.jp/comic/hinomaru.html すぐ翌年とか逆に10年後とかなら「驚くべき予言的…

放火魔と呼べばかっこいいが炎上屋と呼ぶとダサい

深夜に『攻殻機動隊ARISE』を観てたら、なんか超ベタな解釈が思い浮かんだ。 今回の劇中にはファイア・スターターなる電脳ウイルスが登場し、これに感染した者は疑似記憶に操られて集団で他者を攻撃する。 劇中バトーはあっさりこれに引っかかって、自分が経…

鬼畜米英撃ちてし止まん

『花燃ゆ』は観てないが、かような事件があったらしい。 NHK大河 「日米戦争」を「日仏戦争」に歴史修正していた http://www.news-postseven.com/archives/20150616_329418.html 記事中にある、下関戦争で最初に攻撃した相手をアメリカではなくフランスに差…

2015年の中東

フランスでイスラム教を風刺した漫画家が、赤報隊事件のようにテロられた件について。 もしこれを日本に置き換えて、皇室の先祖とされる「古事記」や「日本書紀」の神々がフランスで下品に面白おかしく描かれたら、わたしは大して愛国心の強い人間ではないが…

2050年の妖怪

仕事とか関係ない身辺雑記をひとつ。 先日の深夜の2時頃、録画した『ジョジョの奇妙な冒険』を観ていたら、「コンコン」とドアを叩く音がする。扉を開けると大家さんが立っていて、ちょっと来てくれと言う。 大家さんは推定70代かと思われる女性で、二階建て…

2020年の妄想

惑星開発委員会の『PLANETS vol.9』が刊行(isbn:4905325064)。 特集は「東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト」。 何の自慢にもならないけれど、スポーツにうとい自分は、深夜までテレビのオリンピックの試合中継にかじりついて過ごしたと…

あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします。

回顧と展望

私事を書いておくと、本年は転居したので無駄に金が出てゆきましたが、そのあと刊行された『「右翼」と「左翼」の謎がよくわかる本』(isbn:4569819370)が発売後すぐに1万部増刷、さらに追加で5000部増刷の快挙となった。自分が企画ネタを出した本でこれだ…

列外

本年の「順位とかつけたくない、正しく娯楽として消費させてもらった作品」。 『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』(←長い…)は、この手のヒーローオールスター物では登場人物が多すぎて散漫になるところを、今回はうまく絞…

10.映画『GODZILLA』

(公式:http://www.godzilla-movie.jp/) 怪獣映画としてはまったく正統な作り。序盤、原発事故で妻を見殺しにせざるを得なかった技術者が、執念で事故の原因(怪獣の出現)に迫る展開など、今の日本じゃなかなかこういう演出ができないのが悔やまれる。 本…

9.映画『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』

(http://movie.walkerplus.com/mv17404/) まだチェルノブイリ原発事故さえなかった1985年、原発内部で働く労働者にスポットを当て、つい近年まで長らくDVDも出てなかった幻の作品。池袋文芸座で観賞。 原田芳雄が原発労働者の仕切り役で、倍賞美津子がその…

8.漫画『新黒沢 最強伝説』

福本伸行:著(isbn:4091856888) 2006年にきれいに完結した黒沢がまさかの復活。まず第1巻は「承認欲求こじらせ中年」のイタさにひたすら頭を抱える。この歳になってモテたいとか思ってどうする? という気もするが、実際、旧シリーズでは異性絡みの話が抜…

7『無冠の巨匠 本多猪四郎』

切通理作:著(isbn:4800302218) ゴジラシリーズをはじめとする東宝特撮映画で、怪獣ではなく人間の出てくる本編パートに関わってきた本多猪四郎監督の評伝。じつに20年前に予告されてやっと完成。本書の原形になった『宝島30』の記事はもちろん覚えてまし…

6.『アル中病棟』

吾妻ひでお:著(isbn:4781610722) これも昨年末の話題作だが、本年の年頭にやっと読了。 わたし自身は大酒飲みではないのだが、「社会から脱落しかけたまま、死なない程度には生き延びている」感じのリアルさはグサグサくる。 終盤で筆者の吾妻が「貧乏す…

5.映画『ハンナ・アーレント』

(公式:http://www.cetera.co.jp/h_arendt/) 昨年末の話題作だが本年の年頭に駆け込みで観賞。 劇中、50歳過ぎにもなってやたら仲の良いアーレント夫妻の姿がなんか微笑ましい、イマドキの若いリア充カプにはない良さだ。この夫妻はユダヤ系なので、戦前に…

4.エッセイ『指導者とは』

リチャード・ニクソン著:(isbn:4168130096) 1970年代のアメリカ大統領ニクソンが、自分の会った各国指導者について書いた人物評。対象はチャーチル、ドゴール、日本占領下のマッカーサー元帥、吉田茂、旧西ドイツのアデナウアー、フルシチョフ、周恩来、…

3.映画『ゴジラ』1954年版

これについては6月11日の日記参照 http://d.hatena.ne.jp/gaikichi/20140611#p2