電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2004-01-01から1年間の記事一覧

ルサンチマン右翼にさえなれないダメ野郎を

――と、以上を、これは要するに「俺が90年代前半屈折混じりに考えてたことを、最近の若い奴はてらいもなくストレートに言う、じゃあ俺が若い頃シタバタしてたのは何なんだ、悔しい」というボヤきじゃないか、とツッコミ入れることも可能である。また逆に「あ…

取り残された90年代前半のナチス突撃隊

と、なんだか大月氏の話ばっか書いてきたが、わたし個人はどんなスタンスだったか。 まずわたしは、90年前後に、当時の別冊宝島(『おたくの本』『80年代の正体』他)の浅羽通明氏や大月隆寛氏の文章で、当時はエコロジーとか湾岸戦争反戦運動とかが、「こう…

あらかじめすり替ってた(と俺には思われた)保守革命

しかし、当時はオフレコと言われたけれど、今じゃもう時効だろうから暴露するが、1999年頃"当時"大月隆寛氏はわたしを含む周囲の人間に、つくる会内部で小林よしのりの急速な右旋回をどうにか舵取り修正しようと苦労してるが、会内部の人間関係が難しくうま…

わたしは「つくる会」の幹部を支持してました

98年頃当時、わたし自身はどういう立場だったか、古証文を引っ張り出す。 "当時"わたしは、新しい歴史教科書をつくる会に与した大月隆寛氏を擁護する論を張ったことがある。 http://www.axcx.com/~sato/memo/log/log1051.html 上記の文章を書いた背景は、当…

敗者「皇道派」の弁明

昨日、今の差別しかない自称極右は、現状の自己否定につながる大東亜戦争は肯定するのか?と書いたが、実はそれは一種の挑発であって、ある意味では、本当はわたしはそんなことはどうでもよくて、もっと根源的な論点がある、と思ってる。 そりゃ何か、という…

動物化した差別者

『ゴー宣 戦争論』の風下にあるはずの若いネット右翼・保守の小林よしのり離れの背景には、だんだんネットでは、特に2chでは、小林よしのり愛読者というと「コヴァ、コヴァ」と呼ばれバカにされ、恥ずかしい、という図式が定着したのもあろう。というか、2ch…

すり替わった論点

何度も書いたことだが、わたしは、小林よしのり『ゴー宣 戦争論』の主張は「大東亜戦争を戦った爺さん肯定」の筈なのだが、若い読者の多数は「日本は正しい良い国→自分は正しい良い子」という現状の日本肯定自分肯定と受け止めたんだろうな、と認識している…

98年以前のネット世論を覚えてますか?

確かに、自分の記憶にある限りでも、97〜98年当時は、まだ大局的な歴史認識や政策観でも、大東亜戦争肯定や国防に関するタカ派意見は生理的拒否を受ける傾向があった。また、ネット上で偽悪的な暴言を書いた人間に、誰かが「それは差別だ」と指摘すれば場の…

保守系論調の中身とは

http://d.hatena.ne.jp/kikori2660/20040807 懐かしいと言えば、はてなユーザーの言論状況を見るとまるで一昔前(五年ほど前)の政治系討論ページを思い出してしまうな。あの頃は2chは無かったはずだし、ネット界全体が現在のように保守系論調が強くなるとは…

元祖「最後にグサリと刺す綾波」

その辺に関連して、わたしがもっとも印象深い架空ロリータキャラの一人は、フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のレイチェルだったりする。 この小説版のレイチェルは、主人公のリックに、アンドロイド(レプリカント)である…

弱者の正当承認

結局、今の世で社会の主流になれんオタク男のロリコン志向ってのは、社会的には弱者である幼女が、同じく弱者の自分を肯定してくれる、ってこっちゃないか、と。 エヴァンゲリオンの綾波なんてのは、当初本来まさにそういう「あんた男として弱い生き物だろ」…

弱い者たちが夕暮れ、更に弱い者に萌える

先日おたくの保守性ということについて触れたが、それに関連して、以前からの懸案をひとつ虫干ししたい。 かつてベトナム戦争当時のアメリカでブルーカラーが徴兵逃れのできる学生を憎みニクソンを支持したとか、プアホワイトには公民権福祉政策の恩恵を得て…

後ろ向きな「自己責任」

とまあ、日本的世間では集団の責任は明確にならないが、それからはみ出した時は、キッパリ「自己責任」が浮上する、というのは皮肉である。先日の話、うっかりわけのわからん組織、場、あるいは教祖に与した人間ってのも、まさに「自己責任」なんだろうが。 …

世間思考の軍隊のヤバさ

今の自衛隊は戦前の軍隊とは違うが、最終的責任主体が天皇から安保体制に変わっただけで、雲の上というか外部にあり、結局明確な責任になりえない構造は変わらん気がする。 だから、今の状態で自衛隊が多国籍軍に与して海外でバンバン活躍しようとすると、例…

罪悪感を逃れるための手続きの欺瞞

従軍慰安婦やら炭鉱労働者の強制連行と言われる問題も、この手の話が多いんじゃないかと思える。 たぶん、形式的名目的には一応まっとうな雇用手続きを踏んでたが、その内実は、契約書と話が違うじゃないか、現場じゃ劣悪な給与ピンハネやら、記録に残らない…

ダダモレ的残虐性

戦時中の日本が残虐行為の類などは一切やらなかったとは言わない。だが、それにはかなりグレーゾーンで残虐行為とも解釈すべき事態が多かったのではないかと思える。 戦時中ビルマで(フィリピンだ)バターン死の行進とゆう事件があった。英軍の(米軍だ)支…

自戒

相手を「身内」だと思ってる間は何事も善意の解釈で『あばたもえくぼ』、 もう「身内」じゃないと思い切った途端に一切が『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』――この思考パタンは、狂信カルト信者やマルチ商法会員が、組織に属している間は組織内の理不尽な命令や幹…

「守るべき価値」のある親米思想?

ときて、急にふと思った、おおそうだ、だったら以下のような理屈で、積極的な親米保守の理念を立ち上げられないか? 現状の平和で豊かでお気楽な消費文化は、敗戦を率直に受け入れ、高度経済成長期、対米従属下の経済的繁栄を築くために汗水たらしてきたお父…

伝統保守ではなく消費文化保守主義

どうも現在「保守」と言ってる人、それも特に年齢40代以下の人々が保守したい物の中身というのは、つきつめてみると、お爺さんお婆さんから先祖の培ってきた日本の伝統精神やらとかではなく、現状の平和で豊かでお気楽な消費文化(コンビニとマクドナルドと…

確信犯のアメリカ共感親米派っていないの?

またなんか今さらな話。しばし前、『諸君!』の親米保守vs.反米保守対談(田久保忠衞×西部邁)を読んだが、親米ってのはもっぱら現状維持現実主義で、反米ってのはもっぱら理念的な精神論だから、基本的に論点が噛みあわず、背景として視野に入れてる歴史観…

炎天下の交通弱者(ヘタレ)

自転車のタイヤがパンクしやがったんで、炎天の下、タイヤからチューブを引っ張り出して修理する。暑いんでゴムも伸びきってて、ひょっとしたら少し溶けかかってたんじゃないかと感じられたくらいだ。冬場に比べ、さぞやよく貼り付けたパッチもよく癒着した…

蚊帳の外の正義

宅八郎の話とか書いてたら、『機動戦士ガンダムヒストリカ GUNDAM HISTORICA』に浅羽通明先生が登場。 ガンダムとかこの手の本で上野俊哉か大塚英志ではなく浅羽通明氏ってのは珍しい……と、誰も書かないだろうから、俺がわざとらしく指摘。 内容としては、フ…

1990年当時欲しかった、今の『超合金魂』

引きこもり作家滝本竜彦のエッセイ『超人計画』を読む。 読んでる間、笑いをこらえられなくなる箇所は限りなかったが、そのほとんどが「いや、そういうことは俺も考えたことがある」思い当たるフシ多数、という奴である。 「世間の男女でチャラチャライチャ…

凡才はミスをする、天才はミス「も」する

これまた仕事上の調べもの関連ながら、ドストエフスキー『罪と罰』のラスコーリニコフとポルフィーリィ判事の会話の部分を読み返す。 ラスコーリニコフの、マホメットやらナポレオンやら(1953年に初版刊行された手塚治虫の漫画版『罪と罰』では、ここにスタ…

反省せんとならんなあ

2、3ヶ月ほど前、旧友の一人と再会したら、彼はとあるかなり真面目な雑誌でインタビューの仕事をしてたが、毎回かなりインダビュー相手の過去の発言はきちんと調べていて、ネット上での印象批評の類まできちんと目を通していたので、感心したもんだった。 …

「情」の効用というか功罪

しかしだ、考えてみると、これは単に、本作品は単純な娯楽作品であるとか、劇中おげ丸というのが単純で情に篤いバカという設定になっている、という意味を超えて、案外、極限状況の人間心理としてこっちこそリアルなのかも知れない、とも思った。 いきなりえ…

寝取られた女のために戦う戦士

『忍法封印いま破る』では、自身の死期を悟った長安が、ひそかに三人の若い愛妾に子種を仕込んで、自分の意志を継ぎ将来の日本に革命を起こす「科学の子」を世に放たんとし、その子種を仕込まれた三人の娘を、長安が若い頃山の民サンカの女に産ませた野生児…

早すぎた近代人

山田風太郎『銀河忍法帖』とその続編『忍法封印いま破る』を読了。 江戸時代初期の鉱山技師大久保長安を、南蛮渡来のからくり仕掛け満載の城に住み、日本のみならず世界覇権まで視野に入れた先駆的近代人=マッドサインティストと解釈した奇想小説、と、かつ…

「国民よ、ジオンバーガーを食え!」

「機動戦士Zガンダム」が映画化だそうで、こじつけめくが、Zに出てくる、地球連邦政府の保守強硬派のティターンズって、今のアメリカの「ネオコン」みたいなもんかなあ、という気がする。結果的にはただの偶然だろうけど、富野由悠季の小説版Zガンダムじ…

ロニーは50年代からのタイムトラベラー

町山智浩氏が死去したレーガン大統領についていろいろ興味深いことを書いてる。 で、たぶんこのことも誰かが書いてるんじゃないかと思うが、私的覚え書きメモのようについでに記しておこう。 ヴェトナム戦争の傷を引きずった80年代初頭に登場したレーガン政…